【5月22日 AFP】第2次世界大戦開戦直前に、チェコの首都プラハ(Prague)でユダヤ人の子どもたちをナチス・ドイツ(Nazis)から救ったサー・ニコラス・ウィントン(Sir Nicholas Winton、105)に、チェコ共和国最高位の勲章が授与される。同氏は「英国のシンドラー(English Schindler)」として知られている。

 授与については、19日に105歳の誕生日を迎えたウィントン氏への祝辞でチェコのミロシュ・ゼマン(Milos Zeman)大統領が明らかにした。

 ゼマン大統領は「あなたの人生は、他の何よりも、人間性や愛他主義、勇気、慎み深さの手本となるものだ」と述べ、10月28日にチェコ最高位の勲章である「Order of the White Lion」をウィトン氏に授与すると記した。ウィントン氏は大英帝国勲章も受章している。

 当時、ロンドン証券取引所に勤めていたウィントン氏は、ナチス占領下のチェコスロバキア(Czechoslovakia、当時)へと赴き、手配した列車で計669人の子どもを英国に送り、強制収容所への移送から救い出した。子どもの大半はユダヤ人だった。

 1939年9月3日にも、子ども250人を乗せた別の列車がプラハを出発する予定だった。しかし同日、英国がドイツに宣戦布告し、国境が封鎖された。以降、子どもたちの行方は分かっていない。

「英国のシンドラー」との呼び名は、第2次世界大戦中、強制収容所への移送から何百人ものポーランド系ユダヤ人を救ったドイツ人実業家オスカー・シンドラー(Oskar Schindler)にちなんだもの。

 ウィントン氏は、屋根裏部屋に隠された、当時の活動に関する証拠が夫人によって発見されるまでの約50年間、自身の任務について沈黙を守った。(c)AFP