【6月21日 AFP】第2次世界大戦中にナチス・ドイツ(Nazi)によるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)から5000人のユダヤ人を救ったとしてこれまで英雄視されてきたイタリア人警察署長が、実はナチスの協力者だったとする研究結果を、ユダヤ系イタリア人に関する研究機関「セントロ・プリーモ・レーヴィ(Centro Primo Levi)」が20日、発表した。

 1945年にドイツ南部のダッハウ(Dachau)強制収容所で36歳で死亡したイタリア人のジョバンニ・パラトゥッチ(Giovanni Palatucci)氏は、アドリア海に面した街フィウーメ(Fiume、現在はクロアチアの都市リエカ、Rijeka)で警察署長を務めていた当時、5000人のユダヤ人を救ったとされてきた。

 このためパラトゥッチ氏は、ユダヤ人労働者数千人をホロコーストから救ったとされるドイツ人実業家オスカー・シンドラー(Oskar Schindler)氏のイタリア版とみなされ、ピザから通りまでイタリア中のあらゆるものにその名を冠されてきた。先週末も中部のポリーノ(Polino)の公共広場にパラトゥッチ氏の名前がつけられたばかりだ。

 イスラエル政府のホロコースト追悼記念館「ヤド・バシェム(Yad Vashem)」もパラトゥッチ氏を表彰。ローマ・カトリック教会の故ヨハネ・パウロ2世(John Paul II)は同氏を殉教者として、聖人に次ぐ福者に列した。