【5月10日 AFP】第2次世界大戦中、ナチス・ドイツ(Nazis)に捕らえられるまでの生活を日記にしたためたユダヤ人の少女、アンネ・フランク(Anne Frank)を題材とした新しい演劇が8日、オランダ・アムステルダム(Amsterdam)で初公演された。ユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)の被害者という象徴的イメージの影でこれまで表に出ていなかった、アンネの10代の少女としての素顔を浮かび上がらせる狙いがある。

 1945年に強制収容所で死亡したアンネが、生前アムステルダムの「秘密の隠れ家」でナチスから身を隠しながら書いた「アンネの日記(Diary of Anne Frank)」には、3つの版が存在する。

 この日記は戦後、家族の友人によって守られ、後に父オットー・フランク(Otto Frank)氏が編集して出版。60か国語以上に翻訳され、世界中で数百万人に読まれているのがこの版だが、オットー氏は編集段階で主にアンネの性の目覚めや自らに対する批判と読み取れる内容を大幅に削除していた。

 これとは別に、日記全文と、アンネ自身が出版を希望した際に自ら編集した版が存在し、この2つも近年多くの人々に読まれるようになっている。「アンネ(Anne)」というタイトルが付けられたこの新作演劇は、これら3つの版の全てを参考にしている点に新しさがあるという。