【5月22日 AFP】洪水で壊滅的な被害が出ているバルカン半島(Balkans)のボスニア・ヘルツェゴビナで20日夜、1990年代に起きたユーゴスラビア紛争(Yugoslav War)の際に埋設されたままになっている地雷の1つが流出し、爆発した。負傷者はなかったという。関係当局が21日、明らかにした。

 ボスニア政府の地雷対策センター(BHMAC)によると、洪水により流出した地雷が爆発したのは同国北部のブルチコ(Brcko)行政区。ボスニア国内には、紛争時に埋設されたまま処理されていない地雷が推定12万個あるとされ、記録的な洪水被害の後始末に伴う危険の高さが改めて浮き彫りになった。

 BHMACによると他にも、冠水した住宅の庭で爆発物9個が入った冷蔵庫が見つかったり、大型のプラスチック製ごみ箱からロケット発射装置や爆弾、弾薬が大量に発見されたりしたという。いずれも1992~95年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の際の武器とみられる。

 BHMACの当局者によれば、プラスチック製の地雷は水に浮きやすいほか、鉄製の地雷も洪水の威力によっては簡単に流出するという。

 セルビアとボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチアを襲った洪水は、過去100年で最悪の規模とされ、これまでに51人が死亡、約15万人が避難生活を送っている。一部地域では既に水が引き始めているが、欧州南東部で先週降り続いた豪雨のためサバ(Sava)川流域で新たな氾濫が起きるなど、セルビアとボスニア北東部では依然として緊迫した状況が続いている。(c)AFP/Rusmir SMAJILHODZIC