■13歳で親元を離れた錦織

 錦織は18歳だった2008年に、世界ランク244位の予選通過選手として出場したデルレイビーチ国際テニス選手権(Delray Beach International Tennis Championships 2008)で優勝を飾り、一躍注目を集めると同時に、日本での人気も急上昇した。

 これまでツアー通算5勝を挙げている錦織だが、そのキャリアは故障による挫折の連続で、2009年には選手生命をも脅かす肘の手術を受けた。それでも松岡氏は、錦織がグランドスラム王者に肩を並べると予想している。

 1995年にウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)で8強入りを果たし、日本でテニスブームを巻き起こした松岡氏は、「ナダルとの試合で見たでしょう、あの創造力とスピードを」と語った。

「彼がグランドスラムで優勝することを、誰もが信じて疑わないと思います」

 山陰地方西部の自然豊かな島根県で生まれ育った錦織は、5歳で初めてラケットを握った。

 その後、英語が全く話せない恥ずかしがり屋の少年は13歳で親元を離れ、フロリダ州ブラデントン(Bradenton)にあるニック・ボロテリー・テニスアカデミー(Nick Bollettieri Tennis Academy)の門をたたく。

 幼い頃から日本テニス協会(Japan Tennis AssociationJTA)に目をかけられていた錦織は、期待通り故郷に錦を飾り、国内大会では稼ぎ頭になると、今年行われた国別対抗戦のデビスカップ(Davis Cup 2014)で日本代表チームを史上初のベスト8に導いた。