【5月15日 AFP】今年の欧州国別対抗歌謡祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト(Eurovision Song Contest)」で、同性愛者の権利向上を声高に叫ぶひげ面のドラァグクイーン(女装パフォーマー)、コンチータ・ウルスト(Conchita Wurst)さん(25)が優勝したことで、ロシアの国会議員の間では、独自の歌謡コンテストを創設する動きが出ている。

 ロシア連邦議会の議員らは、保守的なロシア社会でウルストさんの優勝に対する怒りが高まっていることを受け、従来の家族観を尊重する歌謡祭のロシアでの創設を提案した。

 ロシア共産党のバレリー・ラシュキン(Valery Rashkin)副委員長はインタファクス(Interfax)通信に対し、「今回のユーロビジョンの結果には、われわれの堪忍袋の緒も切れた」と憤りをあらわにした。

 さらに「同大会への参加はやめるべきだ。この際限のない狂気を容認することはできない」とした上で、旧ソ連構成国の参加を主とする「ボイス・オブ・ユーラシア(Voice of Eurasia)」と題した歌謡祭の創設を推し進めると表明した。

 この提案に、ベラルーシのアレクサンドル・G・ルカシェンコ(Aleksander G. Lukashenko)大統領の諮問機関「ベラルーシ・スラブ委員会(Belarusian Slavic Committee)」は直ちに賛意を表明。「コンチータ・ウルストのユーロビジョン優勝は、欧州連合(EU)の道徳観の完全崩壊を象徴している」とした上で、「欧州は必要ない!」と宣言した。

 なお、20年以上にわたってベラルーシ大統領を務めるルカシェンコ氏は、米国から「欧州最後の独裁者」と呼ばれたこともある。