年1回開催されるユーロビジョンでは、欧州全土の数百万人の視聴者がそれぞれ応援する出場者に投票し、視聴者の在住国別にポイントが加算される仕組みになっている。本名をトム・ノイビルト(Tom Neuwirth)というウルストさんはオーストリア代表として出場し、スウェーデンやオランダといった国々から最も多くのポイントを稼いでいた。

 一方、ロシア代表として出場し、より伝統的なラブソングを披露した17歳の一卵性双生児デュオ「トルマチェフ・シスターズ(Tolmachevy Sisters)」は7位に終わり、最も厚い支持を得たのは、ロシアの同盟国であるベラルーシとアゼルバイジャンからだった。

 デンマークのコペンハーゲン(Copenhagen)で10日に開かれた同大会の決勝には、欧州の政局と、ロシアによるウクライナへの介入に対する市民らの怒りが影を落とした。ロシアに対しては何度もブーイングが起き、準決勝ではトルマチェフ・シスターズにもやじが飛んだ。

 デンマークの観客の憤怒の一端は、ロシアが昨年「同性愛のプロパガンダ(宣伝)」を禁止する厳しい法律を成立させたことにあるとみられる。同法案の起草者の一人からは13日、ウルストさんのロシア入国を禁止すべきとの提案まで出されている。(c)AFP