【5月11日 AFP】米食品医薬品局(US Food and Drug AdministrationFDA)は9日、特定の筋肉を動かし、複雑な作業を行うことが可能な最先端の義手の販売を承認したと発表した。

 この最新型の義手「DEKAアーム・システム(DEKA Arm System)」は、ニューハンプシャー(New Hampshire)州マンチェスター(Manchester)に拠点を置くDEKAインテグレーテッド・ソリューションズ(DEKA Integrated Solutions)が、米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects AgencyDARPA)の資金援助を受けて開発・製造した。

 人間の腕と同じ形状、同じ重量で、黒とシルバーのパーツが使われており、人気映画シリーズ『スター・ウォーズ(Star Wars)』に登場するルーク・スカイウォーカー(Luke Skywalker)の名を取り、「ルーク(Luke)」と呼ばれる。

 前腕を失った退役兵36人を対象に実施したDEKAアーム・システムの性能試験では、90%が鍵や錠前の使用、料理、食事、ファスナーの開閉、髪にブラシをかけることなど、従来の義手ではできない作業が可能になったと回答した。

 FDA医療機器審査室(Office of Device Evaluation)のクリスティー・フォアマン(Christy Foreman)室長は、「この革新的な義手は、ある種の腕の切断手術を受けた人たちに新たな選択肢を提供するものだ」と述べ、「現在使用されている義手よりもさらに自然な腕の動きに近い形で、複雑な作業を行うことが可能になるだろう」と説明している。

 一方で「ルーク」は、義手に関する最近のその他の研究で実現の可能性が示されている「感覚の復元」をもたらすものではない。義手が装着された部分に近い筋肉の収縮を筋電計(EMG)の電極が検知し、その電極から送られる電気信号によって制御される。

 FDAによると、「電極は義手に搭載されたコンピューター・プロセッサーに電気信号を送り、プロセッサーがその信号を1つ、または複数の特定の腕の動きに変換する」。これらの信号が、10種類の腕の動きを可能にしている。(c)AFP