【5月6日 AFP】真夜中の12時、1人の男が仏パリ(Paris)にあるビルの21階から飛び降りる。数秒後にパラシュートが開く。「ベースジャンプ」で味わうことのできるスリルだ。

 ベースジャンプは飛行機から飛び降りるスカイダイビングとは異なり、動かない場所からパラシュートを使って降下するスポーツ。ジャンプのスタート地点となる「Building(ビル)」「Antenna(アンテナ)」「Span(橋梁)」「Earth(断崖などの自然)」の頭文字を並べ「BASE(ベース)」と付けたネーミングだ。

 他の都市と同様に、パリでも命知らずのチャレンジャーたちはエッフェル塔(Eiffel Tower)やモンパルナス・タワー(Montparnasse Tower)、ビジネス地区ラ・デファンス(La Defense)の超高層ビルなど有名な場所をスタート地点に選ぶ。都市部でのこうした行為は違法であるにもかかわらずだ。

 ラ・デファンスの47階建てビルからのベースジャンプで有名になったダヴィッド・ラファルグ(David Laffargue)さんはAFPに「夜の街は素晴らしい。誰にも気付かれずにビルの上に立って、これから飛び降りることを自分だけが知っている。眼下の多くの窓を見渡すと、とても気持ちがいいんだ」と話した。「飛び降りる瞬間の光景を知りたいなら、バットマンを観るといい」という。

 ジャンプ回数1200回、空中での降下時間は合計約15時間というベースジャンパー、ロドルフさんは、高さが60メートルを超える地点ならばジャンプの候補地になると説明する。また、都市部でのベースジャンプについては「技術的な観点からいうと、非常に高いレベルが求められる。比較的、低い地点からのジャンプになり、着地地点は狭く、街灯や送電線、車など障害物があちらこちらにある。加えて、建物のせいで気流が不安定だ」という。

 さらに心理的な観点からは「違法行為だし、素早くやらないといけないというストレスがかかる」と述べ、「一般的にベースジャンプには十分な準備が必要だが、都市部でのジャンプは特に周到な準備が求められる」と話した。