【5月4日 AFP】昨年7月にキューバの兵器を積載してパナマ運河(Panama Canal)を通過しようとしてパナマ当局に拿捕(だほ)された北朝鮮の「清川江(チョンチョンガン、Chong Chon Gang)号」が3日、北朝鮮に向けてパナマ運河を通過した。

 乗組員の弁護士は、「清川江号は1万200トンの砂糖を積んで平壌(Pyongyang)に向かっており、今朝早くパナマ運河を通過した」と述べた。パナマ運河庁(Panama Canal Authority)のホルヘ・キハーノ(Jorge Quijano)長官も同船がパナマ運河を通過したことを確認した。

 清川江号は2013年7月10日、キューバに寄港した後にパナマ運河に入ろうとした際、麻薬を積んでいる恐れがあるとして臨検を受けた。麻薬は見つからなかったが、パナマ当局はソビエト連邦時代のミグ21(MiG-21)戦闘機2機に加えて防空システム、ミサイル、指揮統制車両などキューバの兵器が入ったコンテナ25個を発見した。また、これらのコンテナは、20万袋を超える砂糖の下に隠されていた。

 北朝鮮とキューバの両国は、積み荷の兵器はキューバが所有する旧式のもので、合法的な契約に基づいて北朝鮮に輸送して修理を行った後、キューバに送り返す予定だったと主張した。しかし両国は、「合法的な」積み荷を隠していた理由を説明していない。

 北朝鮮への武器禁輸を定めた国連安保理決議に違反していた恐れがあり、またパナマ運河を危険にさらしたとして清川江号の35人の乗組員は逮捕され、船体と積み荷は押収された。

 パナマは国連に対し、北朝鮮への武器禁輸措置に違反していなかったか調べるため調査団の派遣を要請。調査結果は公表されていないが、パナマ当局者によると、調査報告書は積み荷が国連の制裁措置に違反していたことを確認する内容になっているという。

 北朝鮮が、支払いを命じられた罰金100万ドル(約1億200万円)のうち約70万ドル(約7200万円)を支払ったことを受け、清川江号は今年2月15日、押収された積み荷と武器密輸の罪で訴追された3人の幹部乗組員を除く32人の乗組員を乗せて出航することが許可された。

 清川江号はキューバに戻って改めて砂糖を積み込み、パナマ運河を経由して北朝鮮に向かう針路を取った。今回も徹底的な積み荷の検査が行われたが疑わしい物は見つからなかったため、清川江号は先月30日にパナマ運河に入っていた。今月1日に運河を抜ける予定だったが、エンジンと電気系統の軽微なトラブルのため遅れていた。(c)AFP