保菌しているハエに刺された人間は、アフリカ睡眠病を発症する恐れがあり、治療を施さないと死に至る場合がある。

 寄生虫が哺乳類の免疫系を回避できるため、家畜用や人間用のワクチンは存在しない。そのため制御方法としては、ハエの捕獲、殺虫剤、放射線を用いた雄ハエの不妊化などが主に挙げられる。

 ゲノムの配列解読により、ツェツェバエの遺伝子とその機能に関する科学的研究がさらに向上し、この昆虫を制御する方法の研究への道を開くはずの知識がもたらされる、とブーチス氏は声明の中で述べている。

 FAOとIAEAの合同部会「食品産業・農業における原子力技術部門(Division of Nuclear Techniques in Food and Agriculture)」は現在、不妊化などの手法を用いてツェツェバエの個体数を制御する取り組みについて、アフリカの14の国々に対する支援を行っており、すでにアフリカ東部タンザニアのザンジバル(Zanzibar)島でツェツェバエを根絶させている。(c)AFP