【4月25日 AFP】ツェツェバエのゲノム(全遺伝情報)を解読したとの研究論文が、24日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。サハラ以南アフリカで最も破壊的な家畜病の1つだけでなく、人間の睡眠病との闘いの助けにもなる可能性があるという。

 10年に及ぶ国際的な取り組みで同ゲノムの解析を行ってきた、国連食糧農業機関(UN Food and Agriculture OrganizationFAO)と国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)の合同部会のコスタス・ブーチス(Kostas Bourtzis)氏は「ツェツェバエのDNAの解読は、大きな科学的躍進だ」と語る。

 これにより「睡眠病(別名トリパノソーマ症)をさらに効果的に制御するための道が開ける。サハラ以南アフリカの牧畜・農業従事者数百万人にとっては朗報だ」。

 アフリカにのみ生息する吸血性のツェツェバエは、睡眠病や家畜のナガナ病を引き起こす寄生虫の媒介動物だ。ナガナ病は毎年約300万頭の家畜が罹患(りかん)する病気で、致死的となる場合が多い。

 慢性的な衰弱症状を引き起こすことで、繁殖力、体重増加量、ミルク生産量などを低下させ、家畜を弱らせて畑を耕したり荷物を運んだりなどの作業ができないようにするため、農民が作物を栽培することがさらに困難になる。