【4月21日 AFP】「第三の性」を法的に認める最高裁の判決が数日前に出されたインドで、トランスジェンダー(性別越境者)のバラティ・カンナンマ(Bharathi Kannamma)さん(53)は、国会議員を目指して選挙運動を行っている──。

 カンナンマさんは、南部タミルナド(Tamil Nadu)州マドゥライ(Madurai)の選挙区から無所属で立候補している。トランスジェンダーとして総選挙への出馬が認められたのは、カンナンマさんが初めてとされる。

 選挙資金が限られているため軽三輪車で選挙運動を行っているカンナンマさんは、「私に会いに来てくれる人たちでさえ、ある種の固定観念を抱いている」と話す。ただ、カンナンマさんに直接会って話を聞くと、皆、彼女がトランスジェンダーであるという事実を忘れるという。

 インドの最高裁は15日、「第三の性」を法的に認め、他の少数派グループに提供されている政府の福祉政策の対象者に含めるべきとの判決を下した。

 カンナンマさんは現在、トランスジェンダーの人々や貧困層の支援を目的とした「バラティ・カンナンマ財団(Bharathi Kannamma Trust)」を運営している。

 政治の世界に足を踏み入れた当初は、一部イベントに参加させてもらえないこともあったという。それ以降、支援団体を離れたカンナンマさんは、トランスジェンダーへの差別撲滅を目指して無所属で選挙活動を行うことを決めた。

 カンナンマさんが立候補を届け出て以降、北部ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州でもトランスジェンダーの2人が出馬を表明しているという。(c)AFP/Divya Meenakshi Arjun