■社会の辺境に生きる「ヒジュラ」たち

 文化的に保守色が濃いインドでは、身体的な性と異なる服装をする人や性別適合手術を受けた男性などは「ヒジュラ(hijra)」と呼ばれ、多くが社会の辺境に追いやられている。

 伝統的なヒンズー教の文化では、トランスジェンダーの人たちは不吉だ、呪われているなどとされることが多い。こうした人たちの多くは売春や物乞い、単純労働などで生計を立てており、貧困から抜け出すことができない。

 インドのデリー高等裁判所(Delhi High Court)は2009 年、「自然の秩序に反する性交渉」を禁止した植民地時代の刑法の条項は憲法に反しているという判断を下し、同性間の性交渉を事実上、合法化した。

 しかしインド最高裁は昨年12月、この条項は有効だとする判決を下し、国を19世紀に後戻りさせる判断だとして厳しい非難を浴びていた。(c)AFP/Trudy HARRIS