【4月11日 AFP】西アフリカで広がっているエボラ出血熱の大規模な流行を食い止めるため、複数の国際機関が10日、緊急対応に乗り出した。

 エボラウイルスによって今年1月以降ギニアとリベリアだけで110人以上の命が奪われたとみられている。感染疑いの患者は、マリとシエラレオネでも報告されている。さらに援助活動家らは、不可欠な衛生用品が底を突く恐れがあると警告している。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)は、エボラ出血熱患者と密接な接触があった人を特定するためギニアの首都コナクリ(Conakry)に派遣する職員70人の緊急訓練を実施すると発表した。

 WHOはまた、エボラ出血熱に関連するあらゆる事柄に対応する特別警戒対策センターをギニア保健省内に開設する。

■消毒剤不足の懸念

 国際援助団体「飢餓に対する行動(Action Against HungerACF)」は、衛生用品の備蓄が底を突きつつあると警告し、ギニア各地の家庭や学校への塩素消毒剤やせっけんの配布、手洗い場の設置に着手したとしている。

 またセネガルの首都ダカール(Dakar)では国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)が、WHOなどと協力し、西アフリカ全域で意識向上の取り組みを開始した。これはテキストメッセージに加え、特別制作された5分間のラジオドラマとテレビ番組へのリンクを携帯電話に多言語で自動送信するというもの。

 ユニセフの西アフリカ地域の子どもの生存と発達に関する首席アドバイザー、ギド・ボルゲーセ(Guido Borghese)氏は声明で、「この地域の人の大半は、エボラという単語自体を聞いたこともなかった」とした上で、「そんな状況では根拠のない恐怖心とうわさが広く速く拡散してしまう。感染から身を守り、危険な誤解を防ぐため、各家庭に予防手段と正しい情報を提供することが極めて重要だ」としている。

 フランス赤十字(French Red Cross)も、感染拡大の中心地となったギニア南東部に仏赤十字として初の緊急対策チームを派遣すると発表した。感染症の専門家1名とボランティアから構成される派遣チームは、現地の赤十字ボランティア職員150人を指揮し、消毒や感染者と接触があった恐れのある人々を見つけ出す技術を訓練することになっている。(c)AFP/Frankie TAGGART