■不倫サイトは「問題だが犯罪ではない」

 韓国放送通信審議委員会のソン・ミョンフン(Song Myung-Hoon)氏はAFPの取材に対し、同委員会はアシュレイ・マディソンのサイトが開設されて以来、「注意深く監視」していると述べた。サイト自体が法に触れているわけではないと認めながらも、「このサイトに問題があることを我々は認識しており、どう対応すべきか委員会内部で議論しているところだ」と話した。

 一方、韓国の姦通罪には抑止効果はそれほどなく、判決も実刑ではなく執行猶予となるのが通例だ。また違法であるが、告訴があった場合のみ起訴が可能な親告罪で、告訴が取り下げられれば即、審理は終了される。

 この姦通罪の下で実刑を言い渡された人数は、2004年には216人だったが、2008年には42人にまで減少した。そして憲法裁判所で何度か審査に付されたものの、姦通罪は韓国の法令全書に今も残っており、廃止を求める世論は盛り上がりを欠いている。

 アシュレイ・マディソンの韓国版が開設されたことに対しては、既に保守団体などが非難の声を上げている。

 ソウル(Seoul)を拠点に活動する市民団体「健全な家庭」のあるメンバーは、「アシュレイ・マディソンの存在は、法的にも道徳的もありえない。この国で不倫は罰すべき犯罪であり、確かに皆、隠れてしてはいるが、それを堂々とネット上で助長するような行為は、問題をさらに悪化させる」と一蹴した。

 しかし、ビダーマンCEOは、たとえ違法だったとしても、既婚者がこっそりと浮気をするという事実こそが、アシュレイ・マディソンの存在理由だという。「禁止されていようがいまいが、人は不倫しようとするものなんだ。であれば、いっそのこと慎重な方法を提供してあげた方がいいんじゃないだろうか? 職場で不倫をすれば、ばれてしまったり、恥をかいたり、解雇されたりするリスクがある。それに代わる手段としてアシュレイ・マディソンがあるんだ」とビダーマン氏は主張する。

 KCSCのソン・ミョンフン氏は、同サイトの監視活動の一環として、会員たちがサイトを違法行為に利用していないかどうか、見張っていると述べた。「もしも売春に携わる行為などの証拠が見つかれば、サイトはすぐに閉鎖できる」という。

 これに対しビダーマンCEOは、売春などは発見次第、サイトの運営管理人が関係者をサイトから追放すると述べ、「(アシュレイ・マディソンは)ネット上の売春宿ではない。同じ志の人たちが集う交流サイトだ。私が携わっているのは、セックス産業ではない」と強調した。(c)AFP/Giles Hewitt