【4月7日 MODE PRESS】
■湘南に根ざしたスペシャリティコーヒーショップ

 最近、湘南方面が話題になることが増えている。僕の周囲でも湘南に移住した人が少しずつ増え、また週末は湘南によく行くという人もけっこういる。雑誌『ブルータス(BRUTUS)』(2013年7月1日号/758号)では“鎌倉にひとり、ともだちを作ろう”と題し鎌倉のコンフォートライフ特集がくまれるほど、湘南での暮らしに憧れる人は根強く存在する。それらに感じるのは、過剰な消費生活から一歩降りた自分なりの生き方を追求する姿勢だ。湘南の地域コミュニティの中心になっている話題のお店や工房を尋ね、湘南カルチャーを体現する方々に自らのライフスタイルを優先した生き方についてお話を伺った。

 辻堂にある27 COFFERE ROASTERSは、湘南のコーヒー・シーンを先導するモダンな焙煎所があるコーヒーショップ。16年前から自家焙煎のコーヒー店を始めたオーナーの葛西甲乙さんは川崎方面の出身。社会人になるのを期に、憧れのサーフライフを実現するため湘南エリアに住み始めたという。

 「社会人の頃から、漠然と湘南に住みながら仕事ができればいいなと思っていました。両親が経営していた工場をたたむことになり、ちょうどその時に知人から喫茶店のビジネスを薦められたんです。また親戚が東北の方でコーヒーの卸業をしていたこともあり、話がとんとん拍子で進んでこの仕事を始めました。スタート時は「かさい珈琲」として自家焙煎とカフェの店を営んでいたのですが、日本のコーヒー・シーンが急速に進化する中で、今までのやり方の限界が見えてきました。そんな時に日本でスペシャルティコーヒー協会が設立され、そこでの様々なセミナーやレクチャーに参加して、スペシャルティコーヒーに衝撃を受けたんです。湘南は東京と比べると変化のスピードもゆっくりなので、まずはうちが変わって、外に向けて発信していければと思い切って、『27 COFFERE ROASTERS』としてフルリニューアルしました。地域に根ざした営業を考えているので、通販よりも店頭販売を軸にして、地元のバリスタを育てたいとトレーニングも考慮してエスプレッソマシーンも2台揃えました。」

 今や自ら産地まで買い付けにいく葛西さんは、最新型のロースターとマシンを駆使し、海外の第一線のロースタリー・ショップに匹敵するクオリティの一杯を提供する。しかも近所の常連客を考慮して東京ではありえない廉価というのが嬉しい。湘南に住む人の価値観について、葛西さんはこう語る。

 「湘南エリアは暮らしを豊かにすることに敏感な人が多いと思います。日本の場合、自販機やコンビニが発達しすぎてしまって、そこで済ましてしまう人が多いのが残念ですね。こだわりのある個人商店がどんどん出来てくれば、お客さんの目線も変わってくると思います。一等地でお店を開くのもいいのですが、もっと生活に根ざした場所でそういうお店が増えてくれるといいなと思いますね。湘南はこだわる人が多く住む場所なのではと感じてます」