■速さは海上輸送の2倍、コストは航空輸送の半分

 採算性を向上させるため、欧州行きと中国行きの両方向で貨物量を増やすことが課題だ。渝新欧鉄道は最大でコンテナ50個分の積載能力を持つが、デュイスブルクに向かう際は貨物がいっぱいで中国へ戻る時は空っぽということも珍しくない。ドイツの鉄道コンサルティング会社SCIフェアケーア(SCI Verkehr)のマリア・レーネン(Maria Leenen)ディレクターは「現段階では中国から欧州に向かう貨物の方がはるかに多い。これは問題だ」と話した。

 数百年前に、アジアと欧州をつなぐ交易路シルクロードに徐々に取って代わっていったのは海上輸送だ。物流コンサルタント会社ISLのブルクハルト・レンパー(Burkhard Lemper)氏によると、アジアと欧州との間の貿易量の95%以上は船による輸送だという。

 貨物輸送市場における鉄道のシェアはまだ小さく、渝新欧鉄道は現在の輸送システムを補完しているに過ぎないが、デュイスブルク港の運営会社のエリッヒ・シュターケ(Erich Staake)社長は「鉄道は、速さは海上輸送の2倍でコストは航空輸送の半分」と話した。

 SCIフェアケーアのレーネン氏は「鉄道輸送の歴史はまだ浅い。安全や定刻運行、関係国の政情などの面で問題がなければ将来性はある」と話した。(c)AFP/Estelle PEARD