■日豪FTAへの影響は?

 しかし、同国のピーター・ギャレット(Peter Garrett)元環境相は「(捕鯨中止の)お墨付きを得た」と判決を手放しで歓迎した。「天にも昇る心地だ。科学的な捕鯨などというまやかしの即時中止を待ち望んでいた全ての人にとって喜ばしい」

 オーストラリアが提訴した今回の裁判は、調査捕鯨の中止を求めて国際法廷に訴えられた初めてのケース。提訴の先頭に立ったのが当時環境相だったギャレット氏だった。「(判決は)何の疑いもなく明確に、今後は南極海で科学の名のもとに捕鯨が行われることはないと意味している。私はそう思っている」とギャレット氏は語った。

 日本は「第2期南極海鯨類捕獲調査(JARPA II)」について、捕鯨の可能性を探る鯨類資源の調査だと主張してきた。だがICJは、日本がクジラを殺さない、あるいは捕獲頭数が少なくて済む調査方法を十分に検討していないとして、日本側の主張を退けた。

 ICJ判決から1週間もたたないうちにアボット首相はオーストラリアにとって第2の貿易相手国である日本を訪問する。訪日中に日本との自由貿易協定(FTA)締結に向けた協議が行われる予定だ。

 捕鯨問題がFTA協議の弊害になるかとの質問に、ブランディス司法長官は「そんなことはないと確信している」と答えた。(c)AFP