■小規模蒸留所は不利に

 テネシー・ウイスキーを造る蒸留所には、アパラチア山脈(Appalachian Mountains)の山麓にあった密造所から始まったところもある。

 ディアジオのギー・スミス(Guy Smith)北米担当副社長は、ジャックダニエルに有利な「テネシー・ウイスキー」の定義が確立すれば「テネシー州のウイスキー蒸留業者たちが130年以上保ってきた柔軟性が、実質的に覆ってしまう」と猛反発している。

「ディアジオも、テネシー・ウイスキーの基準を考えることには前向きだ。しかし、その基準はテネシー州にある大小のウイスキー蒸留所全てが共有する製法を反映したものでなければならない。今回のように、横暴な1社からの押し付けであってはいけない」(スミス氏)

 この問題は自社のポリシーをめぐる戦いでもあるが、経済的な問題でもある。特に、蒸留酒史上に足跡を刻もうと奮闘する独立系の小規模蒸留所にとっては、ジャックダニエルの推進する新基準は不利となる。たとえば「新樽」の使用を必須条件とすれば、樽を再使用できず、1個の樽につき数百ドルもの大きな負担がかかるのだ。