【4月4日 AFP】米酒造メーカーのジャックダニエル(Jack Daniel's)にとって、世界に名だたるテネシー・ウイスキーは厳格な製法にのっとって造られるべきものだ。そして、その製法とは自社のやり方を指す。だが、競合メーカーの目には、ジャックダニエルが活況を呈する業界を独占しようとしているように見えている。

 テネシー(Tennesse)州名産のウイスキーの製法をめぐり、世界的な2大酒造メーカー、ブラウンフォーマン(Brown-Forman)とディアジオ(Diageo)が対立している。ブラウンフォーマン傘下のジャックダニエルが、同州議会に「テネシー・ウイスキー」の名を冠することができる明確な基準を導入するよう求めたためだ。

 ジャックダニエル側が主張する「テネシー・ウイスキー」とは、糖化液(マッシュ)の原料の51%以上がトウモロコシで、内側を焦がしたオークの新樽(たる)で熟成させ、サトウカエデの木炭で濾過(ろか)したアルコール度数40%以上のバーボンウイスキーのみを指す。当然、ジャックダニエルは148年間、この製法でウイスキーを造ってきた。

 昨年、ジャックダニエルは競合他社が抵抗を始める前に、この基準を州議会に認めさせることに成功した。

 これに対し、ジャックダニエルに次ぐテネシー州第2位のウイスキーメーカー、ジョージ・ディッケル(George Dickel)を傘下に持つディアジオは、ブラウンフォーマンが「誤解を招きやすい、偽りに満ちた政治的働きかけ」によって自社に有利なように基準変更を企んだと反発している。