■ボイスレコーダーに記録ない可能性さえも

 AFPの取材に応じた専門家らは口を揃えて、捜索活動は数か月かそれ以上のかなり長期に及ぶ可能性があると語っている。

 2009年に大西洋で墜落したエールフランス(Air France)AF447便の場合、主な残骸の位置を突き止め、水深3900メートルにあったブラックボックスを回収するまでに23か月かかった。

 今回のMH370便の場合、現在行われている活動で捜索範囲がもっと狭められてからでないと、海中で残骸の位置を突き止める段階に入れないと、仏航空事故調査局(BEA)は24日指摘している。

 そうして範囲が限定された後、海底の堆積が平坦だった場合には「牽引式の探知機を使い、調査できる」という。しかし、海底に亀裂があったり起伏が激しかった場合には、エールフランス機の捜索に使われた無人の遠隔操作探査機(ROV)の潜水機レムス(Remus)が動員される可能性がある。

 BEAとの活動経験がある捜索隊員によれば、ROVは非常にゆっくり進むため、信頼性の高い調査が可能だが、それにしても深海で使用するためには、非常に正確な位置の特定が必要だという。

 さらに、たとえブラックボックスが発見されたとしても、データを取り出せる状態である保証はない。

 マレーシア当局は、MH370便は意図的な操作によって管制塔のレーダーから消えたとしているが、CVRも停止されていなかったかどうかは大きな問題だ。ある航空専門家は「操縦席の脇にあるブレーカーを引くだけで(CVRは)電気的に作動しなくなる」と指摘する。

 MH370便の失踪は、ブラックボックスのデータのライブ送信も含めた飛行中の通信について、大きな議論を呼び起こしている。(c)AFP/Delphine TOUITOU