【3月21日 AFP】ツイッター(Twitter)やグーグル(Google)といった米IT大手が言論の自由を推進する一方で、米市場で5億ドル(約512億円)規模の新規株式公開(IPO)を申請した「中国版ツイッター」の微博(ウェイボ、Weibo)は、その申請書類の中で、情報統制を行う国で事業展開するリスクを56ページにわたり説明した。

 中国インターネット大手、新浪(Sina)の子会社である微博は、新たに参入してきた競合他社からの圧力に直面し、利用者増につなげるための資金調達を目指して、米市場への上場という、資本主義の究極的な行為に打って出た。

 だが、中国当局は、好ましくないとみなすネット上のコンテンツを削除するため、大規模な検閲を行うと同時に、国外の怪しげなサイトへのアクセスを制限するため、いわゆる「万里のファイアウオール(Great Firewall of China)」も運用している。

 禁止対象には、ツイッターやフェイスブック(Facebook)、ユーチューブ(YouTube)など、個人同士の広範囲での情報交換を可能にするサービスが含まれる。

 微博のIPO申請書には、「リスク要因」に関する記載に40ページ、中国内での関連法規に16ページが割かれている。中には、「ネット上の情報に対する規制と検閲により事業が悪影響を受け、自社プラットフォームに表示される情報について法的責任が問われる恐れがある」との記述もある。

 同社はまた、禁止対象となるコンテンツには、国家の「威厳を脅かす」もの、「社会の秩序や安定を乱す」ものや、反動主義・わいせつ・迷信・詐欺・中傷などに相当するあらゆる内容が含まれると説明。138ページでは、同社が法に従い投稿内容を検閲していると認め、「自社のプラットフォームに表示される内容を監視する内部手続きを導入しており、投稿の選別・監視を行い、不適切または違法な内容を削除する専門チームも設置している」とした。さらに、投稿者全員の身元確認が要求されており、暗号化ソフトウエアを中国当局に登録しなければならない可能性もあるとしている。

 カナダ・トロント大学(University of Toronto)のコンピューター・セキュリティー専門家グループ「シチズンラボ(Citizen Lab)」の主任研究員で、「Blocked on Weibo(微博上でブロックされて)」の著者でもあるジェイソン・Q・エング(Jason Q. Ng)氏は、「欧米の(インターネット)企業のイメージと信頼の一部は、表現の自由の擁護者であるという事実をよりどころとしている」と説明する。一方で、「微博は検閲の事実を認め(…)同国で実際に起こっていることに言及し、潜在的投資家らにそのリスクを公表している」のだという。