【3月19日 AFP】第2次世界大戦(World War II)中に強制連行され労働を強いられたとして中国の市民が日本企業に損害賠償を求める訴訟が、中国の裁判所で初めて受理された。原告団の弁護士が発表した。日本側は「深刻」な懸念を示している。

 原告代理人の 康健 (Kang Jian) 弁護士はAFPの取材に対し、北京(Beijing)の第1中級人民法院(地裁)が訴訟受理を決定したことを認めた。同様の訴訟はこれまで何回か起こされてきたが、中国で受理されるのは初めて。

 今回の動きは、こうした訴訟は国際協定で禁じられていると主張する日本政府と、過去数十年で最悪の状況にある日中関係を無視した形となる。

 中国政府は、日本が第2次世界大戦中の侵略を適切に認めず、そこから学んでいないと常に非難し、日本政府は中国が、日本を叩くための外交におけるむちとして歴史を用いていると主張している。

 康弁護士は「裁判所から訴訟が受理されたとの通知を受け取った。手元にある証拠と事実に基づけば、それらの企業に責任があると(裁判所が)判断しない理由はない」と語った。

 訴えを起こしたのは、存命の元労働者2人と遺族35人。三菱マテリアル(Mitsubishi Materials)と日本コークス工業(Nippon Coke & Engineering、旧三井鉱山)を相手取り、2月末に訴状を提出した。

 康弁護士によると、さらに遺族3人が加わる予定で、原告団は計40人になる。元労働者と遺族らは、1人当たり100万元(約1640万円)の損害賠償と、日中両国の新聞への謝罪広告の掲載を求めている。