戦時中の強制連行で日本企業を提訴、中国で初めて受理
このニュースをシェア
■日本政府は懸念を表明
第2次大戦中、軍の動員により日本に生じた労働力の欠如を埋めて工場や鉱山で働くために、何万人もの中国人が強制的に日本へ送られた。
日本は1930年代に中国に侵攻。アジア大陸は、さらに広範な世界紛争の主要な前線の一つだった。
日本の裁判所は長年にわたり、国内で起こされた多数の同様の訴訟を却下してきた。最高裁判所は、両国間の国交が正常化された1972年の日中共同声明で中国は賠償請求権を放棄し、個々の中国人が日本に補償を求めることはできないとの判断を2007年に示している。
菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官は19日の会見で、強制連行について遺憾を表明しつつも、「日中間の請求権の問題は日中共同声明の発出後、存在していない」と述べた。
また菅氏は、戦争という異常な状況とはいえ「多くの方々に耐え難い苦しみと悲しみを与えたことは、極めて遺憾だ」と述べた一方で、中国の裁判所が訴訟を受理したことは「中国国内で類似の事案を誘発することになりかねず、戦後処理の枠組みや日中経済関係への影響を深刻に懸念せざるを得ない」と語った。
中国国営紙・環球時報(Global Times)によると、存命している労働者の息子のザン・ヤンさんは、北京で開かれた記者会見で訴訟受理について、自分の父親が「待ち望んでいたことをようやく手にした。88歳になっても(父は)いつ、どこで、どのように捕らわれたかを覚えている。強制的に働かされた炭鉱の様子やその他、多くの細かいことをまだ覚えている」と語った。(c)AFP/Felicia SONMEZ