米ビジネス誌ブルームバーグ・ビジネスウィーク(Bloomberg Businessweek)によると、米航空電子機器メーカー、L-3コミュニケーションズ(L-3 Communications)は12年前、国際便を運航する航空会社1社がリアルタイムで飛行データを送信するには年3億ドル(約306億円)のコストが掛かるとの推計を出した。

 ゴルツ氏は、「すべてのデータを常時、送信する必要はない」と話す。例えば、正常に飛行している間はデータ送信を限定し、異常発生時には大容量のデータ送信を行うといったシステムを組むことができる。問題は、航空各社にこうしたシステムへの投資を促すことだ。ゴルツ氏は、空中衝突回避システムや貨物室への煙報知器の設置のように、政府が義務化する必要があると話す。

 米首都ワシントン(Washington D.C.)の航空コンサルティング会社、セーフティー・オペレーティング・システムズ(Safety Operating Systems)のジョン・コクス(John Cox)最高経営責任者(CEO)はAFPに、「技術は確かにあるが、問題は『なぜそこに金を費やすか』だ」と話し、大量のデータを管理する必要が出てくるだけでなく、データ保護に関する懸念に加え、データの誤った解釈、悪用の恐れもあると指摘した。

「過去の事例を振り返ると、(消息を絶ったまま)見つからない航空機が多くあったわけでも、導入済みの技術を使って航空機事故の原因が究明できていないわけでもない」

(c)AFP/Robert MACPHERSON