【3月7日 AFP】ウクライナのクリミア(Crimea)自治共和国の議会は6日、ウクライナからの分離とロシアへの編入を求める決議を採択した。同時に、ロシア連邦編入の是非を問う住民投票を16日に実施することも決めた。

 これを受け、親欧米のウクライナ暫定政権は猛反発しており、欧州連合(EU)や米国と共に、クリミア議会の決定は違法だと主張している。

 住民の大半をロシア系が占めるクリミアはすでに親ロシア勢力によって実効支配されていることから、今回の決議により、欧州では既に安全保障上、冷戦後最悪の非常事態に発展しているウクライナの危機的状況は、さらに昏迷を深めたといえる。

 3か月に及び100人近い死者を出した大規模な反政権デモを経て樹立したウクライナ暫定政権は、直ちにクリミア議会解散に向けた手続きを開始。オレクサンドル・トゥルチノフ(Oleksandr Turchynov)大統領代行は、クリミア議会の決定はロシアに触発された「犯罪行為」だと断じた。

 また、米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領はクリミアで提案された住民投票について、ウクライナの主権と国際法に抵触すると指摘。米国とその同盟国は一致団結して、ロシアのウクライナ介入に抗議するとの考えを明らかにした。ただ、この問題を外交的に解決する道は完全に閉ざされたわけではないとの認識も示した。

 一方、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は同日、安全保障会議を臨時招集して直近の情勢について協議したが、内容の詳細については明らかにされていない。(c)AFP/Lilia BUDHUROVA, Claire ROSEMBERG, Dmitry ZAKS