【3月6日 AFP】国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長がウクライナ南部クリミア(Crimea)半島に派遣していたロバート・セリー(Robert Serry)特使が5日、親ロシア派とみられる武装グループに脅された上、デモ隊からも妨害を受け、急きょ視察を切り上げたことが分かった。

 国連によると、緊張状態が続く黒海(Black Sea)に面したクリミア半島を視察のため訪れていたセリー特使は、クリミア自治共和国の首都シンフェロポリ(Simferopol)にあるウクライナ海軍本部の外で武装グループに取り囲まれた。

 本部を出て車に戻ろうとした特使は、「クリミアから出て行け」などと脅され、近くの喫茶店に一時避難。国連関係者に電話をかけて状況を報告した。同行していた特使の補佐官によると、一行はその後、店を出ようとしたが、親ロシア派の活動家らによってしばらくの間足止めされた。特使は自身の安全が確保されてから、徒歩で滞在していたホテルに戻ったという。

 セリー氏はその後、車で空港に移動。直後に同地を出発したトルコ・イスタンブール(Istanbul)行きの航空機に搭乗した。補佐官は空港に向かう途中の車中でAFPの電話取材に対し、「特使は無事だ。シンフェロポリの自警団が安全を保障した」と語った。

 セリー特使は今後、ウクライナの首都キエフ(Kiev)に向かう予定だ。(c)AFP