■問い直される「査読審査」

 ラベー氏は今回の詐欺行為によって、査読審査システムの信頼性が打ち砕かれたと指摘する。同システムでは、科学的主張に確実な根拠があるかどうかを独立した専門家らが評価することになっている。

 同氏は、今回の偽論文が作られた動機について「考えられる説明がいくつかある」と述べている。

「1つには、単に誰かが審査システムを試しているにすぎないとも考えられるが、もしそうであれば本人らが名乗り出るはずだけれども、まだそうしていない」とラベー氏は指摘する。「また1つには、金もうけのための計画的な詐欺行為とも考えられる」

 シュプリンガーによると、科学の文献発行を行う分野は他の分野と同様に「詐欺や過ちに対する免疫性がない」という。

「査読審査システムは、今までのところわれわれが持ち得る最良のシステムであり、今回の事件をきっかけに、それを強化するための追加的な措置をシュプリンガー側で講じる予定だ」(c)AFP/Richard INGHAM and Laurent BANGUET