■「絶望的な愚かさ」

 今回のシミュレーションは、いわゆる「RCP8.5」排出シナリオに基づいている。RCP8.5は、IPCCが使用している排出シナリオのうち、最も大きな排出量を想定したもので、2100年までに平均3.7度の気温上昇を予想している。

 英ブリストル大学(University of Bristol)で自然災害について教えるマット・ワトソン(Matt Watson)氏は、今回の研究について、それだけで気候変動問題を解決する方法や技術などあり得ないことは明らかだと述べている。

 同氏は、さらに研究を重ねる必要があるとしながらも「炭素を基盤とするエネルギーシステムへの依存度を減らすことが、唯一の理にかなった選択肢である今の状況において、今回の論文は、気候工学による解決策に頼るという絶望的な愚かさに対して時を得た警鐘を鳴らしている」と述べている。(c)AFP/Mariette LE ROUX