【2月24日 AFP】元プロボクサーのモハメド・アリ(Muhammad Ali)氏が、初めてヘビー級王者に輝いたソニー・リストン(Sonny Liston)戦で着用したグローブが、試合の開催50周年を3日後に控えた22日にオークションに出品され、83万6500ドル(約8550万円)で落札された。

 このグローブは、米ケンタッキー(Kentucky)州ルイビル(Louisville)生まれのカシアス・クレイ(Cassius Clay)と名乗っていた若き日のアリ氏が、世界的に有名な伝説のボクサーとなる運命を決定づけた試合で着用されたもので、米競売会社ヘリテージ・オークションズ(Heritage Auctions)のウェブサイト上でプラチナ・ナイト・オークション(Platinum Night Auction)として出品された。落札者は明らかになっていない。

 アリことクレイは、1960年のローマ五輪で金メダルを獲得し、その4年後に米フロリダ(Florida)州マイアミビーチ(Miami Beach)で世界ヘビー級王者のリストンと対戦した。

 当時、リストンはフロイド・パターソン(Floyd Patterson)との試合で2戦連続となる1回KOを奪ったばかりだった。初戦でパターソンからヘビー級タイトルを奪ったリストンは、2戦目でタイトル防衛を果たしている。パターソンは、1956年に世界ヘビー級タイトルを獲得してからリストンに敗れるまで、6年にわたりヘビー級の覇権を握っていた。

 しかし、そこに生意気で歯に衣着せぬ22歳のクレイが現れ、リストンを辱めたのだった。

 1964年2月25日、クレイは7回にリストンから勝利を挙げて王座を獲得し、両腕を高々と上げてリングを跳ね回り、「世界を変えたぞ」と叫んだ。

 試合の翌日、クレイは本名をモハメド・アリに改名することを発表し、イスラム教に入信している。

 翌年の1965年、リストンは米メーン(Maine)州ルイストン(Lewiston)でアリに再戦を挑んだが、1ラウンドKOの返り討ちに遭った。アリはそれから8回にわたってタイトルを防衛するが、1967年に兵役を拒否したことから無敗のまま世界ヘビー級王座を剥奪され、3年半リングから遠ざかった。

 1971年、連邦最高裁判所(US Supreme Court)はアリに無罪を言い渡し、リングに戻ったアリはタイトルを2回獲得した。(c)AFP