【2月21日 AFP】元プロボクサーのモハメド・アリ(Muhammad Ali)氏が、初めてヘビー級王者に輝いた一戦で着用したグローブが、試合の開催50周年を3日後に控えた22日にオークションに出品されることが決まった。

 このグローブは、当時、米ケンタッキー(Kentucky)州ルイビル(Louisville)生まれのカシアス・クレイ(Cassius Clay)と名乗っていた若き日のアリ氏が、世界的に有名な伝説のボクサーとなる運命を決定づけた試合で着用されたもので、米競売会社ヘリテージ・オークジョンズ(Heritage Auctions)は25万ドル(約2560万円)以上の値がつくと予想されている。

 アリことクレイは、1960年のローマ五輪で金メダルを獲得し、その4年後に米フロリダ(Florida)州マイアミビーチ(Miami Beach)で世界ヘビー級王者のソニー・リストン(Sonny Liston)と対戦した。

 当時、リストンはフロイド・パターソン(Floyd Patterson)との試合で2戦連続となる1回KOを奪ったばかりだった。初戦でパターソンからヘビー級タイトルを奪ったリストンは、2戦目でタイトル防衛を果たしている。パターソンは、1956年に世界ヘビー級タイトルを獲得してからリストンに敗れるまで、6年にわたりヘビー級の覇権を握っていた。

 しかし、そこに生意気で歯に衣着せぬ22歳のクレイが現れリストンを辱めることになった。

 クレイは、試合前に「ソニー・リストンなんて何でもないよ」と挑戦的な態度を見せていた。

「あの男は話もできなければ、試合もできない。話す練習とボクシングのレッスンが必要だ。そして、俺と戦うからには、倒れる練習も必要だな」

 1964年2月25日、クレイは7回にリストンから勝利を挙げて王座を獲得し、両腕を高々と上げてリングを跳ね回り叫んだ。

「世界を変えたぞ。みんなソニー・リストンが俺を倒すと思っていたが、あいつは怖がっていたんだ。人が新しいことに挑戦できないのは、信じる力が足りないからだ。だから俺は自分を信じる」

 試合の翌日、クレイは本名をモハメド・アリに改名することを発表し、イスラム教に入信している。(c)AFP