【2月18日 AFP】米国での銃のよる暴力の犠牲者を減らすにはどうすればいいのか──専門家たちは、銃の購入者の身元調査を必須とする法律や子供など所有者以外が引き金を引けないようにする技術が効果的だろうと指摘している。

 米国で銃規制の問題に取り組むのは容易ではない。銃の所有を支持する強力なロビー団体や憲法で定められた自衛の権利、そして全国民が1丁ずつ所有している計算になるほど、既に社会に出回っている銃そのものの存在がその背景にはある。

 米デューク大学(Duke University)の精神医学教授ジェフリー・スワンソン(Jeffrey Swanson)氏によると、米国では、民間に出回っている銃が3億1000万丁に上るという。

 スワンソン氏は、精神疾患がある人は無差別な銃乱射事件を起こす傾向にあると言われがちだが、実際の割合をみると全体の5%程度に過ぎないと、シカゴ(Chicago)で開催された米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)の年次会合で述べた。

 そのような事実関係からも銃規制についてはさらなる考慮が必要であると同氏は指摘している。

 その手段の一つとして考えられるのが、許可された所有者だけが引き金を引けるようにする技術の活用だ。欧州ではすでに、こうした「スマート・トリガー」技術が使われている国がある。銃による殺害事件が年間約2万3000件、自殺が3万8000件以上を数える米国でも、司法省が中心となって同技術の導入準備が進められている。

「(スマート・トリガーの導入により)未成年者の自殺、子供の誤発砲、盗まれた銃による犯罪を減らすことができるだろう」と、米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の銃政策研究センターのダニエル・ウェブスター(Daniel Webster)センター長は言う。

 しかし、そうした技術は今のところ高額だ。1丁につき数千ドル(数十万円)程かかるという。

 それでもニュージャージー州(New Jersey)は昨年、今後販売される銃には、子供による誤発砲を防ぐ装置を義務付ける法律を全米で初めて可決している。