【2月18日 AFP】ソチ冬季五輪で、フリースタイルスキーの男子ハーフパイプに出場するノア・ボーマン(Noah Bowman、カナダ)は、まるで高所恐怖症のパラシューターのごとく、寒さにアレルギーを持つスキー選手だったが、その病気を見事に克服した。

 ボーマンは17歳の時に、寒冷じんましんと呼ばれる、低温にアレルギーを起こす珍しい疾患を発症した。

 奇妙なことに、ボーマンが最初にこの特異な病気に気づいたのは、雪の斜面の上ではなかった。

 ボーマンは、「すごく不思議だったけど、ある夏、知らないうちに患っていたんだ」と語った。

「冷たい物に触ると、手が腫れ始めたんだ。そして徐々に症状が悪化して、冷たい牛乳に浸した朝食のシリアルが入った皿を持つだけで手が腫れるようになってしまった」

「とにかく変だと思ったけど、あまり深く考えないようにしていたんだ。でも、ある時、冷たい湖に飛び込んだらアナフィラキシー反応を起こして、喉が腫れあがってしまってね。そして目の前が真っ暗になり、しばらくグッタリした状態になってしまった」

 冬のスポーツをこよなく愛する者なら、気力を失ってしまうような状況を考えれば、ボーマンが暖かい場所で行える競技に転向したとしても当然のことだったろう。

 しかしカナダ出身のボーマンは、医師の忠告に反して、断固としてスキーを続けた。

「スキーをやめるなんて考えられなかった」

「医師からは、やめるべきだと言われたよ。でも冷たい物に直接触れずに、身を守る方法があるはずだと思った」

「とにかく体を覆いながら、1年くらい過ごした。すると症状が消えていき、もうすっかり発症しなくなったんだ」

 ボーマンは18日に行われる男子ハーフパイプで優勝候補の1人に挙げられている。(c)AFP