プルシェンコが観客に頭を下げ、手を振ってリンクを離れると、驚きと落胆に包まれた会場からは静かな拍手が起こった。

「ファンとすべての人に謝りたいが、最後まで何とかしようとした。涙が出そうだった。信じてほしいが、僕もつらい。すごく落ち込んでいる。しかし、全力は尽くした」

「昨日、練習の4回転トーループで転んで、腰がまずいと感じた。今日の練習でどこまでやれるかみるつもりだったが、ジャンプがうまく跳べなかった」

「今日は頑張って頑張って頑張った。でも練習で、3回転ループとルッツは跳べたが、最初のトリプルアクセルを跳んだ時に脚にひどい痛みが走った。次のジャンプの時はめちゃくちゃな着氷だった」

「その後は脚の感覚がなかった。痛くてもうダメだった。棄権するしかなかった」

 プルシェンコにとって、今回のソチ五輪は2度目の復帰だった。プルシェンコはトリノ五輪で金メダルを獲得したあと1度目の引退を表明し、その後バンクーバー冬季五輪で米国のエヴァン・ライサチェク(Evan Lysacek)に次ぐ銀メダルを手に入れ、2度目の引退を宣言していた。

 プルシェンコはこの他に、2002年のソルトレークシティー(Salt Lake City)大会でも銀メダルを獲得している。

「将来はアイスショーに出ることを考えている。しかし、まずは腰を治す必要があるし、その点はとても心配だ」