■誰の足跡なのか

 足跡の年代は約80万年前と推定される。その根拠としては、この場所が地質学的に氷河堆積物の真下に位置していることや、当時生息していたが、現在では既に絶滅しているマンモスやウマの一種、初期種のハタネズミなどの化石が遺跡で見つかっていることなどが挙げられている。

 だが「時の砂」に足跡を残したのが、一体どの種類の古代人なのかという疑問は謎のままだ。

 自然史博物館のクリス・ストリンガー(Chris Stringer)氏によると、この古代人は同時期に生存していたとされるスペインのアタプエルカ(Atapuerca)で発見されたホモ・アンテセソール(Homo antecessor、開拓者)という種に分類される人々と何かしらの関係があった可能性があるという。

 同氏はまた「これらの古代人は、われわれが発見した古代人と身長が同じくらいで、完全に二足歩行をしていた」と指摘した。

 ホモ・アンテセソールは欧州で60万年前に絶滅したとみられ、おそらくホモ・ハイデルベルゲンシス(Homo heidelbergensis)に取って代わられたと思われる。その後は約40万年前からネアンデルタール人(Neanderthals)が登場し、最終的に約4万年前に現生人類が現れたとされる。(c)AFP/Danny KEMP