■謎の新参者が伝授した「儲け口」

 当局は、この村でいつからこうした犯罪が行われるようになったのかについては正確に把握できていないとしている。

 しかし、地元の民生委員らによれば、数年前に他の地域から引っ越してきたフィリピン人の女が、「手っ取り早く稼ぐ方法」を住民たちに紹介したという。

 犯罪組織に関わっていたとみられているこの女は、ポルノ関連のチャットルームで客を探す方法から、国際送金で料金を受け取る方法までを教えたとされる。

 隣人からこの犯罪行為に手を貸すよう誘われたことがあるというある女性は、多ければ1回につき100ドル(約1万円)がもらえると言われたという。平均日給がおよそ7ドル(約720円)相当のこの地域にとっては大金が稼げる仕事だ。

 この隣人は、「実際に体に触られる訳ではない」として、児童ポルノを正当化したという。

 自身も子どもを持つこの女性は、「腹が立ちました。子どもたちを守り、愛するものと常に教えられてきたのです。私たち豊かではありませんが、貧しくもなく、自暴自棄になってもいません」と語った。

 ただし、女性はそう言いつつも、地元で問題を起こさないためには、黙っていること、この犯罪に関与してきた者たちとの接触を避けることが最善なのだと話した。

 英国の国家犯罪対策庁(National Crime AgencyNCA)は先月中旬、小児性愛者のネットワークを解体させたと発表すると共にフィリピン国内で11人、さらに国外で18人の身柄を拘束したことを明らかにした。また容疑者733人についても捜査を進めているとした。

 捜査に協力した米ワシントン(Washington)を拠点とする人権団体「インターナショナル・ジャスティス・ミッション(International Justice Mission)」のフィリピン事務所の代表によると、イババオをはじめフィリピン全体では、39人の子どもが保護されたという。

 しかし、今回の摘発が氷山の一角にすぎないとみているNCAは、オンライン児童ポルノを「重大かつ拡大を続ける脅威」だと説明すると同時に、「極度の貧困、高速インターネットの普及拡大、そして数多い国外の裕福な顧客の存在こそが、子供たちが組織犯罪集団の搾取の対象とされる原因になっている」と警告している。(c)AFP/Jason GUTIERREZ