■イルカ個体数激減、いまだ原因不明

 メキシコ湾北部では2010年2月以降、1082頭ものイルカが海岸に打ち上げられている。ディープウォーター・ホライゾンの原油流出事故で爆発が発生したのは同年4月20日。それ以前から、異常に多数のイルカやクジラが海岸に打ち上げられるようになっていた。

 事故前の2010年2~4月末までの間に打ち上げられたイルカやクジラの数は114頭。事故後は2010年4月30日~2014年1月26日までの約3年9か月で、さらに1000頭近くが打ち上げられている。この中には、2011年1~4月の間にルイジアナ州からフロリダ州西部にかけての海岸に死骸が打ち上げられた生まれたばかりのイルカ86頭も含まれている。

 原因は、米東海岸のバンドウイルカ大量死の原因とされている人間のはしかに似た麻疹(ましん)ウイルスでも、細菌感染によるブルセラ症でもないように思うとNOAAの研究者、テリー・ロウルズ(Teri Rowles)氏はいう。

 ロウルズ氏は「現段階では、原因因子として特定できる要因はつかめていないが、メキシコ湾の大量死事象において、BPの原油流出事故の影響を排除することは、現時点では間違いなく不可能だ」と述べている。

 今回イルカの健康検査を支援した獣医師の1人、米ノースカロライナ州立大学獣医学部(North Carolina State University College of Veterinary Medicine)のクレイグ・ハームズ(Craig Harms)准教授はAFPの取材に対し、問題のイルカの症状が、原油に接触させた実験動物に見られる症状に酷似していると指摘している。同准教授は「原油への接触は、バラタリア湾のイルカの副腎機能障害と肺疾患に対する最も妥当な説明だ」と述べている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN