メキシコ湾のイルカに健康異常、2010年原油流出事故後に
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米南部に生息するイルカの専門家のシュワック氏は「健康状態があまりにも悪いため、検査した獣医師らが、それほど長くは生きられないと判断したイルカが数頭いた」と述べた。
■BP「原油が原因とは言えない」
BP側は、今回の調査論文は「流出とのいかなる因果関係に関しても決定的ではない」としている。
BP広報担当のジェイソン・ライアン(Jason Ryan)氏にコメントを求めたところ、同氏は同社の声明をAFPに示した。その中でBP側は「今回の調査で観察された症状は、メキシコ湾北部で存在が確認されたことのあるポリ塩化ビフェニル(PCB)、殺虫剤DDT、農薬などの汚染物質と疾患に関連する過去のイルカの大量死事象ですでに観察されている」と述べている。
BPはまた、流出事故の3か月前に当たる2010年2月以降にメキシコ湾沖で計1000頭以上のイルカが異常死した事例に関するデータすべてを発表するようNOAAに要請している。イルカの健康に関する研究で、事故発生以前に同地域で行われたものは存在しないため、今回報告した問題がBPの原油流出に起因することを自分たちの研究では証明できないことをNOAAの研究者らは認めている。
だが農薬や難燃剤といった化学物質のレベルは、ルイジアナ州沖のバラタリア湾のイルカの方が、フロリダ州沖のイルカよりも低いことが脂肪層の比較で明らかになっており、これは農業排水などによる一般的な汚染が、フロリダ沖のイルカの病気の原因ではないことを示唆している。