【2月23日 AFP】前年4月に大規模な原油流出事故が発生した米メキシコ湾(Gulf of Mexico)では現在、イルカが出産期を迎えているが、浜辺に打ち上げられる赤ちゃんの死骸の数は例年の10倍以上となっている。米海洋ほ乳類研究所(Institute for Marine Mammal Studies)が22日、このような報告書を発表した。

 イルカは春に繁殖し、11~12か月間妊娠。出産は3、4月がピークとなる。例年、この時期に米アラバマ(Alabama)州とミシシッピ(Mississippi)州の浜辺に打ち上げられる赤ちゃんの死骸の数は月に1、2頭程度だが、今年はここ2週間だけで17頭に達しているという。研究者は、異常な数字だとした上で、「母イルカたちは何らかの理由で流産または死産をしている」と話した。

 死因については、検視解剖の結果待ちだ。だが研究者は、前年4月に英エネルギー大手BPの掘削施設が爆発し、3か月間で数百万バレルの原油が流出した事故が関係している可能性を指摘する。事故はちょうどイルカの繁殖期に当たっており、原油はイルカの出産・繁殖地である湾や浅瀬にまで侵入していった。

 なお大人のイルカも、去年打ち上げられた死骸は89体と、例年の30頭を3倍近く上回ったという。(c)AFP

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