ヤルムーク内では食料と医療品はほぼ底を突き、住民によればコメ1キロの値段は100ドル(約1万円)にまで高騰している。シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、封鎖が始まってからこれまでに、飢えや医療不足によって少なくとも88人が死亡した。

■支援物資に群がる住民

 数か月にわたる交渉の末、シリア当局とパレスチナ側の14組織は昨年12月、これまで長く拒否されてきた食料支援を許可することで合意。支援は今年1月にようやくヤルムークに届き始め、一部住民には人道的理由による封鎖地区の退去が認められた。

 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は1月18日にキャンプ内で1回目の食料支援を、さらに1月30日から2月2日にかけては2回目の支援を実施。広報担当者のクリス・ガネス(Chris Gunness)氏によれば、これまでに少なくとも3709個の支援物資がヤルムークに届けられ、各配給所には人々の群れが押し寄せた。

 パレスチナ解放機構(Palestine Liberation OrganisationPLO)によると、これまでに女性や子ども、高齢の男性を主とした少なくとも450人の退去が認められた。だが、12月の合意で交渉を担当したシリア当局者は、退去が許されるのは人道的な理由が認められた場合のみだと述べている。(c)AFP