【1月7日 AFP】北米で猛威を振るった大寒波は、北極圏上空の寒気が南方に流れ込んだ結果起きたもので、地球温暖化がその一因の可能性があると、気象専門家は指摘している。

 ドイツの気候変動ポツダム研究所(Potsdam Institute for Climate Impact ResearchPIK)のディム・カウマウ(Dim Coumou)上級研究員が6日に語ったところによれば、北極気団(北極域で形成される寒気団)は通常、「極渦」と呼ばれる強力な気流の渦によって極地域に閉じ込められているが、この極渦が弱まると寒気が南下し始め、中緯度地域に異常な降雪や寒波をもたらすという。

 この気象変化はまた、上空のジェット気流の変化によっても促進される。北半球のジェット気流は通常、力強く予測可能な動きをしているが、このジェット気流が蛇行し始めると、場所によって極端に寒冷な気候や、季節外れなほど温暖な気候がループ状に生じる。

 カウマウ氏によれば、ジェット気流はこのところ強力な蛇行を続けており、極渦の寒気が南下し、今回はカナダや米国の東部を覆い極寒をもたらしている。この現象はここ数年間、冬のたびに起きているという。

 カウマウ氏の説明によると、極渦を生じさせているのは、北極圏と中緯度地域の温度差だ。以前はこの差が明確だったが、北極の気温は近年、世界平均の倍の上昇を示し、中緯度との温度差が不鮮明になっている。

 カウマウ氏は「こういった寒波は、欧州だけではなく米国でも、近年の冬によくみられる。(ジェット気流の)こうした強力な蛇行がなぜ起きるのかについては、まだ完全に解明されていないが、北極が非常に急速に温暖化していることは明白で、きちんとしたデータがある。北極圏では、地球の他の地域よりもずっと温度が上昇している」と述べた。(c)AFP