■参加するぬいぐるみに合わせた配慮も

 朝一番で観光コースの説明が終わると、「ツアー客」たちは丁寧にしまい込まれて明治神宮や皇居の庭園に向かう。目的地に到着するとぬいぐるみたちは、東さんが慎重に広げたタオルの上で、この日何枚も撮影される集合写真の1枚のためにポーズを決めた。

 少々強引な話に聞こえるかもしれないが「ぬいぐるみの写真を撮るだけだったら、誰だってできます。お子さんを預かっているつもりでやらないといけません」と話す東さんは、この業務に真剣に取り組んでいる。

 以前は金融機関に勤め、その後ウナギトラベルを始めて3年になる東さんは、旅行の様子をブログに綴り、フェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)に撮った写真をアップロードしている。写真には1枚1枚、ぬいぐるみたちの「コメント」がついている。試食中の写真に添えられた「おいしい!」といったシンプルなコメントもあれば、高層ビルの前で撮影した写真についた「物事を違った角度から眺めてみるのは、いつも大事なことだね」など、少々深いコメントもある。

 東さんはまた、旅館で宿泊する際にはぬいぐるみのための浴衣を用意したりと、行き先に合わせた小さな心遣いによって、旅行の様子をネット上で見守る持ち主たちに、ちょっとした驚きを味わってもらえると話す。