【12月20日 AFP】人体の免疫細胞を標的の腫瘍を攻撃する細胞に変化させるがんの治療法が、米科学誌サイエンス(Science)で2013年の最も重要な研究成果に選ばれた。同誌が19日、発表した。

 免疫療法は少数の患者にしか効果がなく、また悪性黒色腫(メラノーマ)や白血病などの特定のがんにのみ有効と限定的ではあるが、その将来性は非常に高いと専門家らは考えている。

 免疫療法の研究が始まったのは、1980年代後半にフランスの科学者らによりT細胞(免疫細胞)上の「CTLA-4」と呼ばれる受容体が発見されてからだ。CTLA-4分子は、免疫系の調整で重要な役割を担っていることが分かっている。

 サイエンス誌によると、この10年後には米テキサス(Texas)州の研究者が、マウス実験でCTLA-4をブロックすることにより「マウスの体内でT細胞に腫瘍細胞を攻撃させ、腫瘍を劇的に縮小させることができる」ことを明らかにしたという。

 この後もさらに研究が進み、1990年代には日本の生物学者が、死につつあるT細胞で発現する分子「PD-1」を発見した。この発見でも、がんとの闘いにおける有望性が示されている。