【12月20日 AFP】ドイツ国内で盗まれた約200台の自動車が中央アジアのタジキスタンに持ち込まれ、その大半をエモマリ・ラフモン(Emomali Rakhmon)大統領の家族や友人が使っていることが分かったと、ドイツのメディアが19日に報じた。

 独大衆紙ビルト(Bild)によると、GPS(全地球測位システム)を使った追跡調査で、これらの車にはドイツで登録された93台のBMWも含まれていることが分かり、両国間の摩擦の火種になっている。

 この問題についてドイツ外務省がタジキスタン大使に電話したとも伝えられているが、同省報道官はその報道内容の確認はせず、「組織犯罪対策での協力についてタジキスタン側との協議が行われた」とのみ述べた。

 タジキスタン大使館は、盗難されたドイツ車を大統領の家族が使っているとの情報を「わが国とその国家元首の中傷」を狙った「事実無根」のものだとして否定するとともに、既にドゥシャンベ(Dushanbe タジキスタンの首都)のドイツ大使館とドイツ外務省に一連の自動車盗難事件で全面的に協力すると連絡していると述べた。

 ドイツの首都ベルリン特別市(特別市は州と同格で国防・外交・財政を除く固有の主権を有し、独自の政府がある)司法省の広報担当者によると、ドイツとリトアニアの捜査当局が車載GPS装置などを利用して盗難車を追跡したところタジキスタンにあることが分かったが、タジキスタン当局が捜査協力要請に応じなかったため、ベルリンの司法相がギド・ウェスターウェレ(Guido Westerwelle)独外相(当時)に「盗難車の大半を、タジキスタン大統領の家族と親戚関係またはビジネス上のつながりがある人々が所有している」と伝える書簡を送ったという。

 同広報担当者は、タジキスタン側はこれまで捜査協力や盗難車返還の要請になんの返答もしていないと述べた。一方のタジキスタン側は、盗難車の違法輸入を税関などでくい止めるためドイツ政府に盗難車情報の提供を求めているが、まだ実現していないとしている。(c)AFP