【12月16日 AFP】 南米チリで15日、2人の女性候補が大統領職を争う異例の決選投票が行われ、2006~10年までチリ初の女性大統領を務めた社会党のミチェル・バチェレ・ヘリア(Michelle Bachelet Jeria)候補(62)が当選確実となった。

 選挙管理当局によると、開票率56%の時点で、バチェレ候補の得票率は62.59%、対立候補の保守派エベリン・マテイ(Evelyn Matthei)前労働相(60)の得票率は37.40%で、マテイ候補は敗北宣言した。

 大統領選の決選投票を2人の女性が争ったのは、中南米では初めて。

 チリの有権者数は1300万人以上だが、今年から初めて大統領選の投票が義務投票から任意投票に変わった。11月17日に行われた第1回投票ではバチェレ候補が47%、マテイ候補が25%を獲得したが、半数以上の有権者が投票に行かなかった。

 マテイ候補とバチェレ候補はともに空軍将軍の娘で、学生時代からお互いを知っている。バチェレ候補の父親は1973年の軍事クーデターで失脚した左翼のサルバドール・アジェンデ(Salvador Allende)大統領への忠誠を守ったために拷問を受けて死亡。一方のマテイ候補の父親は1973~90年まで同国を独裁したアウグスト・ピノチェト(Augusto Pinochet)元大統領の支持者だった。

 バチェレ候補自身も拷問を受けて国外に脱出し、後に帰国して小児科医として働き、その後政界入りした。(c)AFP/Paulina ABRAMOVICH