【1月25日 AFP】自身が操縦するヘリコプターが道路に緊急着陸する様子がテレビで放送されたチリのセバスティアン・ピニェラ(Sebastian Pinera)大統領が、不必要な危険を冒したなどとして野党議員から批判されている。

 民間テレビ局Mega TVは、首都サンティアゴ(Santiago)から南に約270キロのコブケクラ(Cobquecura)で22日に一般市民が撮影した映像を放送した。

 ピニェラ大統領が操縦するロビンソン(Robinson)R44型ヘリコプターが公道に緊急着陸する様子や、ヘリコプターから降りた大統領が住民たちに向かって、燃料が無くなりそうだったので着陸したとにこやかに説明する様子が撮影されていた。

 映像は、ヘリコプターでやってきた警察官に「燃料が切れてしまった」と話す大統領の姿も捉えていた。その後、ピニェラ大統領は燃料補給を終えたヘリコプターでサンティアゴの南約700キロのランコ(Ranco)湖近くにある自身の私有地に向けて飛び立った。

■「不真面目」と批判

 これに野党がかみついた。ガブリエル・アセンシオ(Gabriel Asencio)議員は24日、この件の調査を要求。カミロ・エスカローナ(Camilo Escalona)議員も、チリの大統領が「ヘリコプターのパイロットごっこに興じるべきだとは思わない」と批判した。

 ピニェラ大統領は大統領は5年以上のヘリコプター操縦経験があり、操縦免許を維持するため大統領としての仕事の合間にヘリを操縦すると断言している。

 政治評論家のマヌエル・アントニオ・ガレトン(Manuel Antonio Garreton)氏は、ビジネスと投資の成功を経て政治家に転身した富豪のピニェラ大統領は、批判を浴びても趣味にまで干渉されることは受け入れないだろうとみる。

 だが、こうした態度は、ピニェラ氏が大統領の仕事を真面目にとらえていないと見られる危険があると指摘。「大統領職にありながらライフスタイルを変えない人間は、真面目な人間とはいえない。大統領職には権限と責任が伴うことを理解していないのだ」と語った。(c)AFP