【12月11日 AFP】破裂する恐れが高い豊胸バッグを製造・販売し、世界規模で健康不安をもたらしたフランスの企業ポリ・アンプラン・プロテーズ(Poly Implant ProthesePIP)の元社長ジャンクロード・マス(Jean-Claude Mas)被告(74)が詐欺罪に問われていた裁判で、マルセイユ(Marseille)の裁判所は10日、禁錮4年の実刑判決を言い渡した。

 同裁判所は同被告に対し、禁錮刑に加えて罰金7万5000ユーロ(約1060万円)の支払いと、医療サービス従事や会社経営の永久禁止を言い渡した。同被告は破産を主張しているが、さらに精神的不安や豊胸バッグ摘出手術による外傷を受けた4000人以上の原告に対する補償として、1人につき最大1万3000ユーロ(約180万円)の支払いも命じられた。

 前科がないにもかかわらず執行猶予のない実刑判決が言い渡されたことについて、同被告の弁護士は「衝撃的」と語り、厳刑に処されたのはメディアが生み出した圧力によるものだとして、上訴する意向を表明した。上訴されれば、同被告の受刑は当面保留される。

 事件が最初に取り沙汰されたのは2010年。PIP社の豊胸バッグが他社製に比べて破裂する確率が異常に高いことを、医師らが指摘した。翌11年には、PIP社が材料費を削減して増益につなげるため、豊胸バッグに医療用シリコーンではなく工業用シリコーンを計画的に使用していたことが発覚。同社製の豊胸バッグは65か国で30万人の女性に埋め込まれたとみられ、世界規模の社会問題に発展した。

 これまでに7500人の女性が同社製豊胸バッグの破裂を報告。フランスだけでも1万5000人が同社製豊胸バッグの交換手術を受けたとされる。(c)AFP/Anne BEADE