【12月3日 AFP】タイの警察当局が3日、インラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)首相の退陣を求める反政府デモに包囲されている首相府前の封鎖線を開放し、デモ隊に道を開けた。この劇的な行動で、激しい衝突も起きていたデモ隊と警官隊との緊張が緩和した。

 デモ隊と警官隊はにらみ合いを続け、激しい衝突も起きていたが、警察当局は突然、首相府と治安当局本部へ向かうデモ隊に対して今後は実力行使しないと発表。これを受けて警官隊がデモ隊に道を開けた。現地ではデモ参加者が警察官に抱きついたり、笑顔を交わしたりする光景が見られた。

 警察当局の突然の方針変更の理由は分かっていないが、タイでは5日のプミポン・アドゥンヤデート(Bhumibol Adulyadej)国王の86歳の誕生日に向けて準備が進んでいる。国王の誕生日は例年、静かな気持ちで国王への敬意を示す日となっている。

 首相府に進んだデモ隊は敷地内に1時間ほどとどまった後、立ち去った。

 反政府デモ指導者のステープ・トゥアックスバン(Suthep Thaugsuban)前副首相は同日、封鎖線が開放された後も、現行の政府を打倒する闘争はまだ終わっていないと表明。デモ隊に「闘争を続けなければならない」と呼び掛けた。(c)AFP/Aidan JONES