■米国文化の影響で変化

 香港のリクルートコンサルタント、アダム・ベル(Adam Bell)さんも、特に米国企業に就職する場合は米国人のように話せたほうが有利だと指摘する。ベルさんはAFPに対し、「香港なまりより米国や英国のアクセントのほうが、良家の出身で、海外留学や外国の大学に進学する余裕があったという印象を与える」と語った。また、就職については採用担当者の出身地におおむね左右されるとの見解を示し、「北米出身なら米国アクセントの方が有利だと確信している。同じく英国出身なら英語が有利だろう」とコメントした。

 また、ダブリン・シティー大学(Dublin City University)のQi Zhang教授は、米国文化が普及したため、選考面で米国アクセントが英国アクセントに「取って代わり始めている」証拠があると述べた。

 香港における米国アクセントの評価は中国本土にも伝わっている。米語ワークショップの創立者であるTim Laubachさんは、講師の人数を開校時の1人から8人に増やした。中国本土から越境してくる生徒の増加に対応するためだ。「昨年の開校時に本土の生徒は1人もいなかったが、今は全体の少なくとも3割を占める。これからも増えると予想している」

■「英国アクセントはすたれない」との見方

 ただ、英国アクセントの終わりを告げるのはまだ早そうだ。香港城市大学(Hong Kong's City University)のロドニー・ジョーンズ(Rodney Jones)准教授は、香港の人々が米国アクセントに触れる機会が増えた結果、米国アクセントの普及が進んだ現状を認めた上で、香港人の英国への愛着を踏まえ、英国アクセントも引き続き広く使用されるだろうと予想する。

「英国に対してノスタルジーを感じる人は多い。英国アクセントを聞いて、帝国主義や植民地主義を思い浮かべているのではないと思う」と、同准教授は語る。「(英国アクセントは)依然として香港で非常に高く評価されている。重要なのは、どのアクセントで話しても、英語の習熟度や知性には何も関係はないということだ」(c)AFP/Peter Hutchison